会社の製品に異物が混入してしまった場合,どんな罪に問われるの?

(質問)
 当社は食品製造会社です。
 時々,食品に異物が混入していたとニュースで話題になりますが,もし当社でも異物が食品に混入してしまった場合,法的にはどのような問題になるのでしょうか?

(回答)

1 食品衛生法違反とは 
 食品に異物が混入していた場合,食品衛生法違反になる可能性が考えられます。
 食品衛生法6条4号では,「不潔,異物の混入又は添加その他の事由により,人の健康を損なうおそれがあるもの」の販売等を禁止しています。

2 どんな罪に問われるのか 
 食品衛生法違反又はその疑いのある食品等について,回収命令又は食品等事業者による自主回収が行われ,厚生労働省食品安全部及び都道府県等食品衛生主管部(局)が公表を行った事例を掲載することになっています。 
 また,罰則として,3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
 ちなみに余談ですが,食品衛生法62条では,乳児用のおもちゃについても,食品と同様に規制の対象としています。
 食品衛生法は口に入れられる可能性のあるものを対象として規制する法律ですから,乳幼児のおもちゃもそのような観点から安全性を確保しようとしているのです。

3 事後的な対応が大事 
 食品に異物混入が発覚した場合についてですが,私は混入した事実よりも,事後的な対応が非常に大事になると考えています。
 食品は,人の手によるか,または機械によって作られます。人が関わると細心の注意を払っても何らかのミスは生じますし,機械もいずれは必ず壊れるもので,壊れるタイミングによっては破片等が発見されず混入してしまいます。
 つまり,食品の異物混入を全くゼロにすることは現実的に難しいんです。
 もちろん,異物混入を限りなくゼロにする方策を採ることは必要ですが,それに加えて,世間では異物混入があった際の事後的な対応に注目しています。
 リスクマネジメントの観点から,事後的な対応でどうすればブランドイメージの低下をできる限り抑えることができるか,さらにはその逆境を乗り越えてジャンプアップすることができるかというところまで考えて,十分に対応を検討する必要があるといえます。
 その際のポイントは,①問題発覚から公表までの時間,②異物混入に対しての原因究明への取り組み方,③具体的な再発防止策,④責任があるのであれば誠心誠意の謝罪が大事であると思います。