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請負契約の原価割れ禁止について

(相談)
 最近になって、受注者の原価割れ契約の禁止が定められたと聞きました。
 今一度、受注業務をするにあたって、必要な注意点を教えていただきたいです。

(回答)

1 受注者への責任の拡大
 昨年12月に建設業法が改正されましたが、今回、特に注目すべきは「原価割れ契約の禁止」が受注者側(下請側)にも課されるようになった点です(建設業法19条の3第2項の追加)。
 これまでは「安く叩く発注者が悪い」という構図でした。
 つまりは、発注者から受注者に対して、取引上の地位を不当利用して、不当に低価格な契約を強要することを禁止していました。
 つまり、受注者を保護するために、このような規制が定められていました。
 しかし、これからは「著しく低い代金で受けること」自体が、受注者自身のコンプライアンス違反を問われかねない時代になります。
 無理な安値での受注は、もはや「美談」ではなく「リスク」です。
 資材高騰が続く中、契約締結前にコスト変動のリスク情報を注文者に提供する義務(おそれ情報の通知義務)も新設されました。
 これらを怠り、後から「資材が上がったから赤字だ」と泣きついても、法的な救済は極めて難しくなります。
 受注者にも同様の規制が及ぶようになったのは、労務費にしわ寄せがいくことを防ぐことにあります。
 つまりは、請負費用を低くしてしまうことにより、受注者の労働者の賃金等にしわ寄せが来ることを防止するために法律が改正されたといえます。

2 違反した場合の効力
 注文者が原価割れ契約をした場合のペナルティとして、勧告・公表が定められています。
 つまり、信用の低下や、入札参加への悪影響が発生するリスクがあることから、法律を遵守することを促しているといえます。
 受注者の義務についても同様のペナルティが課されることになります。
 つまり、原価割れの契約をした場合、勧告・公表がなされることとなります。
 ここで注意してもらいたいのは、契約自体はそのまま維持されるということです。
 取適法(旧下請法)等他の法律で保護される場合はありますが、受注者としては、一度原価割れの契約をしてしまえば、勧告や公表のリスクを負いつつかつ、不利な契約に縛られ続けることになります。

3 後から「こんなつもりではなかった」を防ぐために
 口頭で、いわば「阿吽の呼吸」でしていたやり取りを続けていると、いずれは足をすくわれることになりかねません。
 見積りをしっかり作成し、使用する材料等の価格等の説明を受け、適正な金額で契約を締結し、会社や労働者を守らなくてはなりません。
 要望を具体的に契約条項にどのように反映させるか、悩みがある場合にはご相談ください。