月別アーカイブ: 2020年6月

裁判もIT化する?

(質問)
 裁判がIT化されると聞いたのですが、詳しく教えてください。
 

(回答)

1 裁判のIT化とは?
書面が電子化され、裁判もウェブ会議でできるようになるというものです。
もともとIT化は進められていましたが、今回のコロナウイルスの流行で裁判が中止になったりして、よりIT化の必要性が高まりました。
裁判といえばテレビでよく見る法廷での尋問のイメージが強いと思いますが、実際に法廷で行われることは少なく、裁判所の非公開の部屋で、お互いに提出した書面をもとに、主張を整理していくことがほとんどです。
それから、大阪に住んでいる人と岡山に住んでいる人が岡山の裁判所で裁判をするときは、岡山の弁護士だけが裁判所に行き、大阪の弁護士は電話で対応するという方法もありますね。

2 裁判のIT化の方法とは?
全てがIT化されるのはまだ数年先の話ですが、最終的には初めから終わりまで全てオンラインでできるようになることを目指しています。
まずはオンラインで訴訟を提起して、その後も電子化された書面をオンラインで提出します。それから、弁護士が事務所にいたままウェブ会議で話し合いができるようになります。
テレビで見るような尋問の場面も、最終的には、ウェブ上で行われることも考えられています。

3 IT化のメリットは?
これまで裁判は平均して1年近くかかっていましたが、IT化によってより早く終わらせることができます。
遠くに住んでいる人も、ウェブで参加できるので、時間やコストを削減できます。また、書面も電子化されるのでコストを削減できます。

4 IT化のデメリットは?
裁判の書面は機密文書ですから、セキュリティの問題があります。
それから、IT化に対応できない人がいる場合に、裁判を受ける権利を保障するためにどう対応していくのかという問題もあります。

5 今後について
今年の2月から、東京、大阪、広島などの一部の地域で導入が始まっています。
ただ、先ほど説明した全面的なIT化は、法律を改正しないとできないものです。現時点では、今の法律を使ってできる範囲でのIT化ということになっています。
具体的には、書面の提出はまだ紙媒体でやる必要がありますし、尋問も裁判所に行ってやる必要があります。
ウェブ会議でできることとしては、書面をやり取りしてお互いの主張を整理することです。
今回の新型コロナウイルス流行で、多くの裁判が中止となり、裁判所になるべく出頭しない方針になりましたので、ウェブ会議の導入が広がっています。
今後は裁判の方法が大きく変わっていくかもしれません。