内縁関係の法律問題について

(質問)
 私には、長年交際している内縁の夫がいるのですが、突然、他の女性と交際していることを告げられ、別れ話をされました。
 結婚はしていませんでしたが、20年以上同居しており、周囲には私達が結婚していると思っている人も多くいます。通常の恋愛関係とは違って事実婚状態でしたので、突然の別れ話には納得いきませんし、相手の女性も許せません。
 法的に何か請求できないのでしょうか。

(回答)

1 内縁とは
 判例によれば、内縁は、「婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合」であり、「婚姻に準ずる関係というを妨げない」としています。
これは、内縁関係を、制度としての婚姻に準じたものとして法的に保護する考え方で、準婚理論と呼ばれるものです。
法的に保護される内縁関係が認められるためには、一般に、婚姻意思(社会的実質的に夫婦になりたいという意思)があり、夫婦共同生活を営んでいること、社会的にも夫婦と認められていることなどが要件とされます。
これについては、子供の有無、同居の期間や生活費等の管理・支出の状況等、個別の事案によって総合的に判断されることになります。

2 内縁の破棄と慰謝料
 内縁関係が認められる場合、正当な理由なくこれを破棄することは、不法行為となり損害賠償責任が生じ得ます。慰謝料の金額は、内縁解消の原因、内縁の期間や子供の有無、収入等の事情から判断されます。
なお、内縁の夫婦間の権利義務は法律婚に準じますので、夫婦には貞操義務も認められます。不貞行為は、内縁の夫婦間において不法行為が成立するだけでなく、不貞行為の相手にも、故意又は過失が認められるときには共同不法行為が成立します。
 今回のケースでも、相手の女性が、内縁の妻の存在を知りながら男性と交際していたような場合には、当該女性に対しても慰謝料請求が認められるでしょう。

3 内縁の終了と財産の清算
 内縁関係の不当破棄の問題とは別に、内縁関係の終了にあたって、離婚のような財産分与は認められるでしょうか。
この点、裁判例では、内縁終了の場合にも財産分与の規定の類推適用が認められており、基本的には法律婚と同様の考え方で処理されることになります。手続としても、内縁解消の場合にも離婚時の財産分与と同様に、家事調停を利用できます。
 ただし、死別によって内縁関係が終了する場合には、財産分与の規定は類推適用されないと解されています。法は、死亡の場合の財産の承継は、相続によることを予定しているためです。内縁の配偶者は相続人にはなりませんので、死亡後に内縁の配偶者に財産を承継させるためには、生前に遺言を残しておくこと等が必要になります。
 内縁関係というものは昔からありましたが、現在は、結婚に対する価値観や夫婦の生活のあり方もより多様化し、あえて法律婚をしないという選択をする夫婦も増えています。内縁関係の法律問題は、法律婚以上に難しい問題を孕んでいますので、お困りの際は弁護士にご相談ください。