継続的契約と解除の制限について

(質問)
 当社は製造業を営んでおりますが、この度、材料の仕入れ先の一部を変更しようかと考えています。ただ、これまで取引している会社とは、前の社長の代から30年以上にわたって取引を続けていることもあり、契約終了について簡単に納得してもらえそうにありません。
 このような場合、法律上、契約を一方的に終わらせることはできるのでしょうか。補償金などを支払う必要はあるのでしょうか。

(回答)

1 継続的契約の法理 
 契約の解除や違約金については、契約の条項がどのようになっているのか、まず契約書を確認する必要があります。
 もっとも、契約で解除条項や契約期間が定められていても、長期間にわたって継続することを予定した契約については、解除や更新の拒絶が制限されることがあります。
 これは、学説や裁判例で認められているもので、継続的契約の法理などと呼ばれることがあります。
 具体的には、信頼関係が破壊されたと客観的に認められる等の「やむを得ない場合」でないと契約の解除・更新拒絶ができないとする考え方や、原則として契約条項にしたがった解除・更新拒絶ができるが、例外的に信義則に反すると認められる場合は制限されるとする考え方があります。
 また、契約の終了には一定の予告期間(又はそれに代わる損失補償)を必要とするという考え方もあります。
 法律に明文の規定はなく、学説や裁判例も分かれているため、実務的に統一的な基準がないのが実情です。
 

2 どのような場合に解除が制限されるか
 継続的契約といってもその内容は様々ですので、解除が制限されるか否かについては、当該契約の内容や保護の必要性に応じて個別的に判断されることになります。
 契約期間が長期であるというだけで制限されるわけではなく、一方当事者が契約の継続を前提として多額の設備投資をしたり、当該契約に依存している等の諸般の事情から、契約の一方的な解除を認めることが信義則に反するといえるかがポイントとなってきます。
 本件でも、単純な売買契約を長期間繰り返してきたというだけでは、解除が制限されることにはならないと考えられます。
 

3 解除の際の補償金
 継続的契約の解除が制限される場合でも、未来永劫その契約を続けなければならないということにはなりません。結局、裁判等で争われた場合には、契約終了までの一定の予告期間を置くか、それに相当する損害賠償が必要という判断になるでしょう。
 裁判例をみると、予告期間は、長い場合でも1年間程度ものが多い印象です。
 下級審の裁判例ですが、海外のワインメーカーとの間で18年間にわたって当該メーカーのワインを独占的に輸入・販売することを内容とする販売代理店契約を締結していた事例では、1年間の予告期期間をおくべきと判断されています。
  
 今回のような継続的契約の解除の問題は、個別具体的な検討が必要であり、一般論では語れない部分があります。もっとも、ありふれた問題でありながら、法律に明文がない論点ですので、相談を受けた際などには注意が必要です。