反社会的勢力による不当要求への対応

(質問)
 当社の商品に欠陥があったとして、とあるお客様が軽い怪我を負ってしまいました。運が悪いことに、そのお客様は反社会的勢力の一員であり、それ以後頻繁に当社へ来られ、「誠意を見せろ。1000万円払え。」等脅迫めいた事を言われています。
 当社はどのように対処したら良いのでしょうか。

(回答)

1 反社会的勢力による不当要求
 反社会的勢力による不当要求については、①接近型と②攻撃型に分類されます。①接近型とは、反社会的勢力が、機関紙の購読要求、寄付金や賛助金の要求、下請け契約の要求を行うなど、「一方的なお願い」あるいは「勧誘」という形で近づいてくる場合をいいます。これに対し、②攻撃型とは、反社会的勢力が、企業のミスや役員のスキャンダルを攻撃材料として公開質問状を出したり、街宣車による街宣活動をしたりして金銭を要求する場合や、商品の欠陥や従業員の対応の悪さを材料としてクレームをつけ、金銭を要求する場合をいいます。

2 事実関係の整理、証拠の収集
 ご質問のケースでは、貴社は、現時点での情報に基づき、事実関係や証拠の整理を行う必要があります。
 ①相手方に関する情報(氏名、住所、取引の有無、反社会的勢力の属性)
 ②要求内容に関する情報(具体的な要求があるのか、害悪の告知があるのかなど)
 ③要求経緯に関する情報(貴社に非があることから発生しているものかなど)
 相手方とのやり取りに際しては、記録化が重要で、録音・録画も一つの方法ですが、面前で具体的な言動についてメモをとることは重要です。

3 警察等への連絡
 相手方が反社会的勢力である場合や、生命・身体・財産等に何らかの危険性がある場合には、直ちに警察に相談をし、場合によっては警備要請を行います。

4 謝絶の意思を表明する。
 不当要求行為に対しては、毅然として謝絶の意思を表明することが重要です。仮に、従前の経緯において当方側に何らかの非があるという場合、非がある部分について謝罪すべきだと考えるとしても、その先にどういう要求が続くのかが見えないところがあります。
 謝罪する部分は明確にして謝罪し、それ以外は具体的な場面ごとに毅然と対応していくべきです。対応に際しては、弁護士に依頼し、弁護士名での内容証明郵便による通知を送ることも検討すべきです。

5 仮処分手続の利用
 ケースによっては、街宣活動禁止の仮処分、架電禁止の仮処分、面談要求禁止の仮処分、立入禁止の仮処分を検討する必要があります。

6 まとめ
 執拗な電話や文書の送付、支店への頻繁又は長時間の来店、街宣車で街宣行為を行うこと等の不当要求には、要求内容の整理を行った上で毅然として対応すべきですが、事前に警察に相談するほか、仮処分手続等を検討することになります。