定款の内容と実際の運用の食い違い

(質問)
 当社では、内容の違う定款が数種類見つかりました。しかし、どの定款にも監査役設置規定がないにもかかわらず、当社では、従前から監査役が選任されていますし、株券を発行していないのに株券発行会社として登記されています。
 このような状況で、当社は今後、どのように定款を整理していったらよいでしょうか。
 なお、公証人の認証を受けた定款は、もはや存在しません。

(回答)

1 定款の確定
 定款には、公証人による認証を受けた「原始定款」と、株主総会の特別決議で変更することになった「現行定款」があります。
 会社法では、役員の任期、株式の譲渡を承認する機関、監査役の監査の範囲等、定款規定の自由度が高まり、定款で定めることにより、その会社のルールとして認められることになっています。
 原始定款を認証した公証役場が判明しており、かつ、その認証の時から20年を経過していない場合には、認証を受けた公証役場へ連絡し、交付申請をすることで原始定款の謄本を入手できます。
 原始定款を認証した公証役場が判明していなくとも、登記申請をしてから5年以内であれば、設立登記をした法務局が設立登記に関する書類の一部として定款等を保管しているので、そこで原始定款を閲覧することができます。
 上記の方法によって定款を確定できない場合は、あるべき定款を再度作成するしかありません。

2 定款の変更
 定款の内容を変更する場合は、原則として、株主総会の特別決議が必要となります(会社法第466条、第309条第2項第11号)。
 また、株式譲渡制限規定を設けたり、譲渡制限会社で株主ごとに異なる取扱いを行う規定を設ける場合には特殊決議が、会社が特定株主から自己株式を取得する際に、他の株主からの追加請求を排除する定款変更を行うには、株主全員の同意が必要となります。

3 定款の重要性
 貴社は、会社の実態を踏まえて、定款を確定する必要があります。
 まずは、社内に存在している古い株主総会議事録、取締役会議事録、複数の異なる定款を寄せ集めて、その内容が現在の会社の実体と整合しているかどうかを確認します。
 そして、整合していない場合は、あるべき定款に合致するように会社の実態を変更するか、会社の実態に合わせて、あるべき定款の変更を行うか、いずれが合理的か検討することになります。

4 回答
 ご質問のケースでは、どの定款にも監査役設置規定がないにもかかわらず、監査役が選任され登記されていることから、実態と合わせて監査役の権限の範囲を検討した上で監査役設置会社としての定款を作成するか、会社の実態を変更して監査役を廃止するかを選択することになります。
 また、株券については、旧商法時代から存在している株券発行会社は、会社法施行後、定款を変更していない場合は、依然として株券発行会社であるとされているので、定款の規定により株券不発行を規定することになります。