従業員が休日に逮捕された場合の懲戒解雇の可否

(質問)
当社の従業員Yは、休日にスマホでの女性のスカート内の撮影をした容  疑で迷惑防止条例違反で逮捕されて、新聞に載ってしまいました。
そして、当社の従業員が盗撮といった書き込みがSNSでなされるよう  になってしまいました。
当社は、Yを懲戒解雇できるのでしょうか。   

(回答)

1 従業員の犯罪が即懲戒解雇ではない。
 中小企業が注意する点は、就業規則の懲戒事由に「犯罪行為を犯したとき」というような規定を設けている場合でも、従業員が犯罪で逮捕されたからといって、必ずしも直ちにこれに該当するとして懲戒処分ができるわけではないということです。
 懲戒処分は、企業秩序を維持するために認められていますが、従業員の私生活上の言動は本来企業秩序とは無関係であるため、本来は懲戒処分の対象とはならないからです。
 もっとも、現実には、従業員の私生活上の非行であっても、会社の社会的評価が低下するということはよくあることです。そのため、裁判例においては、私生活上の行為についても、会社の社会的評価を低下させるおそれがあると客観的に認められる場合には、懲戒処分ができるとされています。

2 従業員の勤務時間外の犯罪による会社のリスク
 従業員の勤務時間外の犯罪は、会社の業務とは無関係な出来事ですが、会社は無関係という訳にはいきません。
 というのは、ご質問にあるように、SNSを通じての会社の信用低下が考えられるからです。
 また、会社にとっては、人員が欠けることによる業務の遅延、取引先に対するサービスの低下もリスクとなります。
 なお、インターネット上に半永久的に従業員の犯罪に関する情報が残存する可能性があり、影響が長期に及ぶ可能性もあります。例えば、大学生等が就職活動中に企業情報を得ようとした際に、意図せず過去のその会社の従業員の犯罪の事例も閲覧されるリスクがあります。

3 回答
 貴社は、Yの迷惑防止条例違反という犯罪が6月以下の懲役という比較的軽微な犯罪ではあるものの、極めて破廉恥な行為であること、社名がSNSでオープンになって会社の信用を著しく毀損されたことを理由に、Yに対する懲戒解雇の可否を検討することになります。
 ただし、懲戒解雇はリスクがあるので、普通解雇、さらには退職を促す方が無難かもしれません。