マンションの鍵を紛失した場合,どのようなペナルティーがあるのですか?
(回答)
1 紛失した鍵が,オートロックマンションの鍵だった場合
オートロックマンションの鍵は,部屋の鍵とマンション入口の鍵を兼ねていることも多くあります。
そのような鍵を,酔って暴れて紛失したような場合,(1)全戸の鍵の交換費用又は(2)自室のシリンダー交換費用が発生する可能性があります。
酔って暴れて鍵を紛失する代償として,自室のシリンダー交換費用[(2)]程度であれば,支払った上で反省すれば足りるような気がしますが,マンション全戸の鍵の交換費用を請求された場合には,反省してもしきれません。
2 鍵紛失の責任を負うのは誰?
マンションの契約をするということは,貸主との間で「賃貸借契約」を締結する,ということを意味します。
賃貸借契約における賃借人の義務の中には,賃料を支払う義務の他に,鍵を保管する義務も含まれます。
そのため,鍵を紛失した場合には,賃借人としての義務に反した債務不履行(又は不法行為)として,貸主から損害賠償請求される可能性があります。
3 賃借人が責任を負うとして,その範囲は?
では,貸主から損害賠償請求されるとしても,マンション全戸の鍵の交換費用までも支払う必要はあるのでしょうか。
賃貸借契約締結時に署名押印した「賃貸借契約書」の規定が気になるところではありますが,「賃貸借契約書」の多くが基準にしているであろう『賃貸住宅標準契約書』で今回は御説明します。
これは,国土交通省が作成している標準契約書です。この標準契約書の別表第5には,原状回復(第14条)の条件について記載があります。この中では,「鍵の紛失又は破損による取替え」は,借主負担とされていますが,その「取替え」の具体的な記載はありません。
4 鍵紛失の場合の対処法
もし,鍵を紛失して,自室のシリンダー交換費用を請求された場合には,反省を含めて快く支払って下さい。
他方,マンション全戸の鍵の交換費用を請求された場合には,民法 ,商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。 」とする消費者契約法10条で争うことができる可能性がありますので,そのような場合には,弁護士にご相談ください。