スマホの囲い込み商法は法的に問題ないのか

(質問)
 スマートフォンを解約したいのですが2年たっていないので解約金がかかると言われてしまいました。
 2年縛りにするのは法的に問題ないのですか?

(回答)

1 スマホの囲い込み商法  
 現在,携帯電話の契約数の約半数はスマートフォンです。iPhone6の発売に伴い,「そろそろガラケーからスマホにしようか」や「AndroidからiPhoneに替えようか」などと検討された方も多いと思います。
 電話会社は,他者に顧客を奪われないように契約やサービスで様々な縛りをかけて「囲い込み」を行っています。その代表例が次の2つです。まず,一つ目は「SIMロック」,二つ目が「契約の2年縛り」です。今日は,この二つ目の問題に関連した携帯電話契約の「解約」についてお話ししようと思います。

2 2年縛り 
 大手携帯電話会社では,顧客が2年間使い続けることを条件に基本料金を半額にするなどの割引を行っています。問題は,これを途中で解約すると1万円近くの解約料をとられるという点です。
 この2年縛りについては,「最初の2年間は縛られているが,2年経過後は自由に解約できる」と考えている人が多く,携帯電話サービスの苦情相談では,解約の点に関する相談件数が第1位となっています(全国消費生活情報ネットワーク)。
 なお,SIMロックとは電話会社がスマホや携帯電話を売るときに他社のSIMカードを入れても動かないように制限する(つまり,ロックする)ことを言いますが,「SIMロック」と「契約の2年縛り」とのセットで顧客を囲い込むという形になっているのです。

3 2年縛りの法的問題 
 「解約料なしに解約できる期間が2年経過後の1カ月のみ」という2年縛りについて,法的に問題はないのでしょうか。
 更新後の契約解除料については,その有効性をめぐる裁判も起こされています。
 その根拠としては,解除料は,「解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」として消費者契約法第9条第1号で構成されたものもあります。
 もっとも,高等裁判所レベルではありますが,この解約金は無効ではないと判断されていますので,現段階で解約料の有効性を争うことは困難であるといわざるを得ません。

4 裁判レベルでは困難 
 このように裁判でも無効を争うことは難しい解約料ですが,総務省は解約料をとることについて携帯電話会社に見直しを求める方向であるとの報道がされていました。
 私たちも携帯電話会社とトラブルになることをできるだけ避けるためにも,契約締結前の説明は十分理解した上で,スマホを使いたいものです。