バスやタクシーの長時間労働が問題になっていますが,法律上の規制はどのようになっているのですか?
(回答)
1 バスやタクシーの特例
バスやタクシーは,他人を乗せることが仕事です。特に高速バスであれば,高速道路という「便利だが危険」な道路を運行することになります。そのような職業も上記と同じように,長時間の勤務でも適法となるのでしょうか。
タクシー,バス,トラックなどの自動車運転者の労働時間については,長時間の加重労働となりやすいことや,そのために交通事故が惹起されるおそれがあるため,通常の労働と異なる規制が告示によって設定されています(平成元年2月9日付労告7号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」)。
2 基準内容
1日の拘束時間は13時間以内を基本とし,これを延長する場合であっても16時間が限度です。また,1日の拘束時間を原則13時間から延長する場合であっても,15時間を超える回数は1週間につき2回が限度です。
また,休息時間は1日継続8時間以上必要です。
休日は,休息期間+24時間の連続した時間をいいます。いかなる場合であってもこの時間が30時間を下回ってはなりません。
休息期間は原則として8時間確保されなければならないので,休日は,「休息期間8時間+24時間=32時間」以上の連続した時間となります。
また,運転時間の限度もあり,1日の運転時間は2日(始業時刻から48時間をいいます。)平均で9時間が限度です。1週間の運転時間は2週間ごとの平均で44時間が限度です。
連続運転時間は4時間が限度です(運転開始後4時間以内または4時間経過直後に運転を中断して30分以上の休憩等を確保する必要があります。運転開始後4時間以内または4時間経過直後に運転を中断する場合の休憩等については,少なくとも1回につき10分以上としたうえで分割することもできます。)。
3 長時間労働のリスク
バスやタクシーに限らず,事故のリスクがある職業については,長時間労働に伴う疲れや居眠り等のもたらす重大なリスクを企業側も十分認識する必要があります。