クーリング・オフ制度について

(質問)
 高級羽毛布団と言われてあまり深く考えず契約してしまい,高額な支払を求められています。
 返品したいのですができるのでしょうか?

(回答)

1 消費者被害の救済方法 
 マルチ被害に遭った等,消費者被害と呼ばれる事件は古今東西を問わず発生し続けています。
 まず,錯誤(民法95条),詐欺・強迫(民法96条),消費者契約法違反などを理由とした契約の取消や無効を主張することが考えられます。これらの主張が認められれば,商品代金等の支払を拒むことができますし,仮に支払済みであれば代金の返還を請求することが可能です。
 もっとも,裁判上において上記の主張が認められるためには証拠を集め,それぞれの要件を満たす必要がありますし,そもそも主張自体,容易に認められるものでもありません。そこで,消費者保護の観点から,特別法により被害の救済が図られています。

2 クーリング・オフ 
 その中でも代表的な規定が特定商取引に関する法律,いわゆる特商法のクーリング・オフ制度です。
 この制度は,基本的には,一定の期間内(法定の書面が交付された日から8日間)に相手方に書面で通知することによって,一度締結した契約を消費者の側から一方的に解除するものであり,消費者保護のために非常に強力な効果を有するものです。
 なお,この8日間という期間制限ですが,法律で定められた事項が書かれた契約書面(法定書面という)を受け取った日を1日目として数えます(連鎖販売取引は,法定書面を受け取った日,もしくは商品を受け取った日の,いずれか遅いほうを1日目とします)。
 例えば,「訪問販売でガスの契約を結んだが,契約書はもらっていない。契約から10日が経っているが,クーリング・オフはできるか?」という事例の場合,本来は訪問販売のクーリング・オフ期間は8日間ですが,法定書面を受け取らない限りいつでもクーリング・オフが可能です。
 「解約はできない」などと業者に脅されたり,「この取引にはクーリング・オフ制度はない」「商品を使用しているのでクーリング・オフはできない」などと虚偽の説明をされて,消費者がクーリング・オフを妨害された場合には,業者から改めてクーリング・オフができる旨を記載した書面を渡されてから所定の期間を超えるまでは,クーリング・オフができます。

3 押し買いとは 
 クーリング・オフが使われる典型例としては,訪問販売やマルチ商法があげられますが,最近新たな類型が追加されました。それは「押し買い」と呼ばれる行為(法律上は「訪問購入」と規定されます。)です。
 「押し買い」とは,突然自宅に押しかけ,貴金属等を売却するように執拗に勧誘し,相場よりかなり低い値段で買い取ってしまう行為です。
 このような行為は2008年頃から相談件数が増加しており,2011年度には4000件をこえる相談が寄せられていました。そこで,法改正により平成25年2月21日から規制の対象となったのです。
 これにより,上記のような「押し買い」行為についても契約から8日以内にクーリング・オフの通知を発送すれば契約を解除することが可能となりました。もっとも,自動車や家具,書籍等は適用除外となりますし,消費者から売買契約を持ちかけた上で訪問し売却した場合はクーリング・オフの対象外となりますので,注意が必要でしょう。

4 法改正に注意 
 このように消費者被害の分野は被害の実態に合わせて法改正が頻繁に行われる分野ですので,消費者被害に遭ったと疑われる場合には弁護士にご相談されることをお勧めします。