株主総会不開催のリスク

(質問)
 当社は、株主の大部分が代表取締役社長の身内である同族会社であったことから、会社設立時から現在まで株主総会を開催したことがありませんでした。
 かかる状況で、ある少数株主は、なぜ株主総会を開いていないのかと当社に言ってきました。
 当社とすれば、どのように対応すれば良いでしょうか。

(回答)

1 中小企業の株主総会の開催状況
 中小企業の多くは同族会社です。このような会社は、株主の多く又は全部が身内であるため、株主総会を開催したことがないとか、議事録だけ作成して株主総会を開催したことにするという例も多いのではないかと考えられます。
 しかし、会社法上、株式会社は毎事業年度に1回は定時株主総会を開催しなければなりません(会社法第296条第1項)。

2 株主総会を開催しないことのリスク
 では、貴社のように株主総会を一度も開催したことのない会社は、一体どんなリスクを負うのでしょうか。
 第一は、取締役が会社から報酬を得る場合、報酬額につき定款の定めがないときは株主総会の普通決議によって定めることが必要となるところ(同法第361条第1項、第309条第1項)、株主総会を開催していなければ今まで得た報酬が遡って法律上の原因のないものとされてしまうリスクがあります。その上で、今まで得た報酬の合計額が会社の損害にあたるとして、他の株主から損害賠償責任を追及されたり、取締役の不当利得に当たるとして会社に返還義務が生じたりするリスクがあります。
 第二は、取締役を選任する場合は、株主総会の普通決議が必要となります(同法第329条第1項、第309条第1項)。そのため、株主総会を開催していない場合、適法な選任手続を経ていない取締役による業務執行が行われたとして、今まで取締役が行ってきた行為が覆されてしまうリスクを負うことになります。
 第三は、100万円以下の過料に処されるリスクを負います(同法第976条第18号)。
 これらは、いずれもそういったリスクを負う可能性があるというレベルにとどまります。しかし、同族会社における株主総会の開催コストはそれほど大きくかからないといえますので、余計なリスクを回避しうるメリットと比較衡量すれば、株主総会を開催する方がコストパフォーマンスは高いといえます。

3 回答
 貴社は、株主総会を早急に開催する必要があります。
 なお、過去の株主総会決議事項については、遡って議決しておく必要があります。