追加担保提供条項とは

(質問)
 追加担保提供条項とはどのようなものですか?

(回答)

1 追加担保の必要性 
 金銭消費貸借契約等においては、債権の履行を確保するため、しばしば土地や建物に抵当権が設定されます。
 その際、抵当権を設定した物件が値崩れして、その価値が被担保債権の額に満たなくなることも考えられます。
 この場合、債権者は、抵当権の実行をしても、十分な債権の回収ができなくなってしまいます。
 このような場合に備えて、債権者が債務者に対し、あらかじめ債務者にさらに担保を請求することができるとするのが追加担保提供条項です。

2 追加担保条項の規程例 
 追加担保条項の規程例は次のとおり。
 「抵当物件が、その原因のいかんにかかわらず、滅失・毀損するなど価格下落を生じたとき、若しくはそのおそれがあるときは、債務者及び保証人は、直ちに債権者に対しその旨を通知しなければならない。
 この場合、債権者が請求したときは、債務者は増担保、代担保を設定し、又は保証人を立てなければならない。
ただし、本件消費貸借契約に基づく残債権額が抵当物件の実税処分価格を下回っていることを債務者が立証したときはこの限りではない。」

3 追加担保条項の有効性 
 ただし、この追加担保提供条項には、注意する点が1つあります。
 それは、具体的な物件を特定して追加担保提供義務を負わせるようなものでない限り、実際に「この土地を担保提供せよ」という請求を訴訟でするのは、難しいということです。
 このようなことを申し上げると、読者の皆様には、具体的な担保物件を記載していない上記規定例は、無意味な規定であると思う方もいらっしゃるかもしれません。
 ところが、上記規定例のような規定を設けることにも一定の意味があります。
 なぜなら、仮に債務者が具体的な担保提供をしなかった場合には、「債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき」(民法137条3号)にあたり、期限の利益が喪失され、債務者は一括で残金を弁済しないといけないからです。
 実際に追加担保提供条項を契約書に規定する場合、具体的な担保となる物件について規定しておくことが考えられます。
 しかし、仮にそれが困難な場合でも、規定例のような条項を設けることで、少なくとも期限の利益の喪失を避けるべく、債務者は担保の提供をするための奔走をすることになるのです。